「人間の顔は心を隠せない,人生を隠せない」1993年,最初の本「経営書の肖像」では「その人物の内に潜めた力強さ、エネルギー、魂」を視点に撮影しました。2000年表現者シリーズでは「物は磨けば磨くほど艶、味がでる、人間も磨けば磨くほど、艶、味が出る。自分を磨く事で作品に艶や味が出る」を視点に撮影してきました。
一貫して人間の顔に拘ってきたのは人間への好奇心が絶えないからです。
「人間的な弱さ、強さ、聡明さ、愚かさ、、、」疲れきったときの弛緩した顔,女性をみてニヤニヤしただらし無い顔、落ち込んで自信のない冴えない顔、下心見え見え顔、嬉しくてうれしくて幸せそうな顔、、、人間の顔はそのときそのときの心の表情が出てきます。また時代性も映し出していると思います。
相手に対峙しながら撮影するポートレートは、その人物の生きてきた痕跡を記録する最適な表現方法だと思います。深く刻み込まれた一枚の写真から人は多くを想像できる。
見る人の立場、あるいは状況によって「己の未来像を重ねる」人もいれば、「写真から生きる勇気」をもらう人も。「己を律してかくあろう」を確信する人もあるであろう。また「幸せを」感じる人も。肖像写真とはそんな力があるように思う。
大切な人の写真はあなたを幸せにする。写真にはその力がある。
当時、「経営者の肖像」「日本の女将」シリーズに続いて当該作品「表現者の肖像」シリーズを展覧するに到りました。作家、画家、陶芸家、彫刻家、音楽家、書家、芸能者など50余人の超一流の表現者たちに当企画に参加頂きました。
今、再び「表現者の肖像」の発表を決めたことには意図があります。
表現を生業にする「表現者」たちのメッセージ性豊かな肖像から「表現の持つ力」「肖像に込められたメッセージ」をリアルに感じて欲しいと感じたからです。
肖像写真から伝わる「時代を生き抜く知恵」の数々、表現者としてそれらを伝えることこそが表現者の喜びであり使命ではないだろうか・・・。
海田悠
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